【感情表現と思考習慣】西洋と日本の違い

«お悩み» 今、付き合っている彼の感情の振り幅についてゆけません。まるで、子供を扱うような時も・・・。愛情たっぷりでハグしてくれたかと思うと、次の瞬間、子供が駄々をこねる様に意固地になったり、ひどい時には、真っ赤な顔をして大声で怒鳴ります。自分の感情だけが大切で、私がどう感じているか解ってもらえないのが悲しいです。

感情の扱い方、感情マネジメントに、東洋人と西洋人の違いがあるのでしょうか。

Biologically we are the same

生体としては、東洋も西洋もない。全く同じ人間です。脳の構造も、感情がトリガーされる部分も同じですが、感情の捉え方に日本文化と欧米文化の間に大きな違いがあるのは事実です。存在する一般的な傾向を比較してみました。

欧米人にとって感情は自己表現手段だ

  • 感情は相手に送るシグナル。相手に知らせる表現手段
  • 思考は見えない・見せない部分だが、感情は見せるもの。相手をmanupulateする意図が隠れていて真逆の感情表現をするケースも
  • 感情を表現して何が悪い。表現しないと伝わらない。表現すべきものだ。
  • 感情表現による自己主張が、self-esteemを高める
  • 個々人の表現方法は違っても、自分が大切。自分のエゴ・感情を重視する傾向がある
  • 相手の気持ちを推し量る事はまず、ない。

日本人にとって感情は隠し我慢するのが美徳

古色蒼然たる概論に聞こえますが、これ、実は、若いクライアント様に多く見られる傾向です。

  • 思考や感情は、表現しすぎない方がいい
  • ただ、相手を操るために、感情を、意図的に、見せつける事はある
  • 露わにネガティブな感情を出すのは、おとな気ない。感情を表に出しすぎてはいけない。
  • 相手を立てる。謙譲語の世界
  • 周りとの調和から、時として自分の感情を無視。人知れず苦しむ傾向も
  • 相手の気持ちを分かろうと努力する

欧米の方とのコミュニケーション

ですから、ビジネスでも、プライベートでも、欧米人を相手に、言わなくても分かってもらえる。などという日本的な法則は通じません

日本の方を相手にした時には、まず、見せない表現方法で、お相手にしっかりと、ここの部分が嫌。こうしてもらえると嬉しい。はっきりと意思表示する位の意気込みがないと。お互いに分かり合える事はできないとおもいます。

更にいえば、欧米人でも、例えば、イギリス人とイタリア人では感情表現に大きな格差があります。韓国人と日本人でも同じ事ですよね。

個人の性質の違い プラス 国民性や文化の違い

国民性や文化の違いがある。という事を理解した上で、当事者双方にとって、心地よいコミュニケートの仕方・お付き合いの方法を見つけてみてください。

ただ・・

あなたの彼は、感情的に、かなり、Volatileな方なのでしょう。彼が、訳もなく怒鳴る時には、何を言っても仕方ない。もう、その場を離れてしまうことです。相手にしても仕方ない。はらはらドキドキしてあなたが苦しむ事はありません。

彼が西洋人だからではなく、この方自身の問題なのではないでしょうか。感情マネジメントができていない気がします。

平常心! What is Equanimity?

多くの日本人は、他者との軋轢をさけ、こころ穏やかに、平常心をもって、日々を過ごしたいと願っているのではないでしょうか?これは、長い歴史と文化に裏付けられた精神性の高さの賜物なのでしょう。

一方、Equanimity と訳される「平常心」という言葉の概念は、本来、欧米にはなかった様です。マインドフルネス・ブームやダライ・ラマ法王猊下の精力的なご活躍により、精神性を求める欧米の方々が仏典を学び、仏教哲学を学ばれ、平常心という概念が次第に、受け入れられてきている様です。

我慢からはこころの平穏は訪れない

・時として自分の感情を押し殺し
・時として、感情を無視して懸命に生きている

周囲との調和や気遣いから、我慢することが当たり前になってしまい、人知れず苦しんでいる方々が、数多く、いらっしゃいます。

感情を出す事は我がままだ。いけない事だ。と思い込んで、心の中に不満や負担を隠し、感情を押し殺してしまう。他者との軋轢をさけたいからですね。

あなたは何を感じているのですか?

・自分が何を感じているか分からない。そうおっしゃる方がいらっしゃいます。

・子供さんや親御さんへの遠慮で、いちいち、自分の感情を見つめていたら、生きていられない。とおっしゃる方もいらっしゃいます。

自分が我慢すれば全てがうまくゆく

そうでしょうか?我慢の限界を超えると、鬱状態を招いたり、健康を害する事があるのです。全てがうまく行く事などありません。

・今、ご自身が抱えている感情に気づき
・ご自身や周囲を批判することなく、心の奥にある思考と感情を受け止める
・周りへの配慮や、遠慮からはなれてみる

どうしたらもっと喜びをもってご自身の人生を、生きることができるのか?ということに、焦点をあててみるといいです。そして、ご自身の命をしっかりと生きるように、意図することがとても大切。

そのうえで、初めて、周りために、世の中のために、自分の命を使える様になるのですから。まずは、あなた御自身が意図しないと、何にも具象化しません。目指して、意図して、努力して実現できるのです。まずは、ご自身の命をしっかりと生きるように意図する。すると、周りの態度も、あなたにとって、心地よいものに変わってゆきます。

意図しても、確実性は存在しない

人間は、東洋であれ西洋であれ、確実性のない、何が起きるか分からない命を生きています。人生で確実な事といえば、生あるものは皆、いつか死を迎えるという事だけです。いくら意図してみても、引き寄せの法則を使ってみても、皆が全て、思い通りの結果を得られる訳ではありません。

思い通りに事が運ばず、気持ちが落ち込んで、もうだめだと思いつめても、駄目な事ばかりが続くわけではありません。ですから、何があっても、正面を向いて立ち上がる準備・武装が必要です。その準備の一つが感情マネジメントなのです。

思い通りに行かない。計画通りに進まない。ネガティブな出来事に直面しても、ここが腑に落ちて理解できていれば、『こういう事もあるよね』と受け止めて、機能的な行動を取る事ができるのですから。

まとめ:デジタル革命が文化の壁を崩しつつある

ここ20年間来のデジタル改革で、個人レベルでアクセスできる情報量に格段の差が生まれました。多くの西洋人が東洋の知恵に触れ、精神性を高めるための学びを重ねる一方、品位品格どころか、恥ずかしげもなく、怒りを周囲にばら撒く、精神性の低い日本人も増え、東洋・西洋の違いではなく、個々人の精神性のレベルの違い。と、なりつつある現実は否めません。これからの世代は、まだまだ違う方向に進むことになるのでしょうが・・・

昨年10月、金沢にある鈴木大拙館の学習コーナーで静かな時を過ごしておりました時、数組の西洋の方々が、鈴木先生の書籍を静かに読んでいらっしゃいました。そこに、日本人の団体の方々が大きな笑い声や、大声で雑談をしながら入室されて・・・静かに佇む方々への配慮がすっかり、欠けていたのです。

ドイツ語圏の方でしたが、席を立ち、”Shhhh….”と注意され・・・

ご年配の方々の一行でしたので、ハッとされて、素直に”sorry”とあやまり、静かにされた場面を思い出しました。

人は、誰でも、悪気のない不注意から、マナー違反をしてしまうことがあります。そんな時は、お互いどの様に、コミュニケートするかが大切。心地よいマナーというのは、西洋と東洋の違いではなく、個々人の精神性の高さなのだと実感した出来事でした。

あなたが、健やかで、こころ穏やかでありますように

 

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