【認知行動療法】ABCモデル

感情マネジメント

«お悩み» パイロットになるのが夢で、多額の資金は両親がだしてくれました。試験を控え、ぼくの人生の成功も幸せも、この試験の結果にかかかっていると思うと、失敗したらどうしようという不安感がひろがり、夜、全くねむれないのです。

確実性を求めてみても

人生で、確実なのは『生まれた以上、人は皆、死ぬ』ということだけ。ここに行きつきます

  • 合格するという確実性が欲しい
  • お金をかけ、訓練を積んできたのだから大丈夫だという保証が欲しい

現実の世界では、どんなに実力のある方でも、たまたま試験当日の体調が悪かったり、場合によっては、試験官との相性などの理由で、実力が発揮できず、不合格というケースもあり得るのです。

ですから、確実性を求めると、苦しみを生む結果を招いてしまいます。

ABCモデル

REBTはABCモデルを使って、悪玉感情を招いた出来事⇒思考⇒結果(感情・行動)⇒思考の検証⇒柔軟思考・善玉感情・機能的な行動にシフトしてゆきます。英語では以下の流れになります。

A ctivating event

B eliefs

C onsequences, emotional and behavioural consequences

D isputation of beliefs

E ffective new beliefs – consequences

辛い感情が、どんな思考に起因しているのかを一緒に見つけ、違う角度から現実を捉え直し、柔軟思考にシフトさせます。結果、同じネガティブな感情でも善玉感情に変わるので、機能的な行動が取れるようになるのです。

 

この方のABCは?

A :試験を控えている

B :試験で失敗する訳には行かない。絶対に合格しなければならない

失敗したら、人生の敗北者だ
失敗したら両親に合わせる顔がない

合格するという確実性が欲しい
これだけやってきたのだから大丈夫という保証が欲しい

不合格という結果は、人生の敗北だ

C :不安感(悪玉感情)

考え込みで夜、眠れない、疲れた

この状態が続けば、試験当日に実力が発揮できない。という悲しい結果につながりかねません

D :この方の拘り思考を検証してゆきます。その結果・・・

E :今回、合格したら最高だけど、絶対に失敗できない!ということはない。次のチャンスだってあるのだから。

試験を前にすれば多少の不安を感じるのは自然だ(善玉感情)
ここまで予定通りに準備できた!持ってる力をだしきろう

食事や運動で体調を整えよう
丹田呼吸を使って早く寝よう という機能的な行動に変わり

 

見事に、合格。彼は大手エアライン国際線パイロットとして活躍されています。

 

ネガティブ感情を悪玉から善玉にシフトすると

人間である私たちは、何かにチャレンジする時には、大なり小なり不安感を抱く。これは、ごく、自然のことです。

ただ、ネガティブ感情には

  • 機能的な行動を阻止する悪玉感情と
  • 機能的な行動を可能にする善玉感情があり

感情の源にある思考を柔軟思考にシフトする事ができれば、持っている力を十分に発揮して、好ましい結果をだす可能性が大きくなります。

 

最後に

勉強した様子もないのに抜群の結果を出す方がいらしたり、大企業に就職できなかった方が、ビジネスを立ち上げ大成功をおさめたり。勿論、人知れぬ大きな努力があってのご成功ですが、この方々は、柔軟思考を自然体で持ててしまう資質を持って生まれた、幸運な方々なのでしょう。

天才でなくても大丈夫。それは、私達は誰でも、選択する事ができるからです。

ネガティブ感情を引き起こす引き金となる出来事に直面して、狭いこだわり思考に自分を占有され、周囲と問題を起こしてしまう・試験に失敗してしまうのか。

あるいは・・・

その出来事を、観察・評価して、柔軟思考を選び、感情に流さない機能的な行動をとるのか。これは、私達次第。誰でも選べるということです。

人間の持つ苦しみを和らげる術を一緒に学んでゆけたら嬉しく思います。