«お悩み» 苦しかった子供時代の記憶をけすことができません。母を殴っていた父。僕たちを殴り・押さえつけた父。家族をすてた父親の姿。父が憎い。父親を許せません。
慈悲という言葉を知って、疎遠になってた父に連絡。父をサポートすると伝えたのですが、心が騒つき、嫌な気分が襲ってきてとっても苦しい。過去を忘れる事ができたら、憎しみが消え、父を許せるのではないでしょうか?
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忘れる能力にも限界がある
思い出したくない事。不都合な事を忘れることができたら素晴らしい
ところが私たち人間は、結構、どうでもいい事は忘れても、心に傷を生んだ出来事は、なかなか手放せないのですね
恨みや憎しみという感情や出来事を忘れることができない
人間は潜在意識の中に、五感で触れた様々な出来事をしっかり、収納し・記憶している。普段は、それをどんどん忘れ、本当にご自身が、必要と感じている情報だけが、顕在意識に浮かぶと言われています。
ところが・・・
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- 自分が被害を被った出来事
- 裏切られた出来事に起因する
恨みや憎しみという感情はいつまでたっても、忘れることができない。その出来事を手放す事ができない。
何かをトリガーに過去の出来事がイメージとして現れ、辛い追体験をくりかえしてしまう。同じ思考を。同じ言葉を。オオムの様に繰り返し、繰り返し、忘れる事ができないのです。だから、不快感が消えないのですね。
憎しみや恨み。この感情をどう扱う?
憎しみはとっても、強い感情です。だから、憎しみをどう扱うか。これは誰にとっても、人生の大きなチャレンジになります。
心の中に封じ込め、蓋をする
まず、多くの方が選ぶ、過去のこととして、心の中に封じ込めて、蓋をする。見ないようにする。これは逆効果。
上述の彼の様に、いくら慈悲の瞑想をしてみても、内なる自分と向き合い、自己の問題に直面し、自己解決するプロセスを踏んでいないので、憎しみを消す・許すということは、できないのです。
感情から入ったのでは無理。それは、憎しみという感情がとても強い性質をもつからです。
加害者と話してみる
加害者に『辛かった』『なんで、僕がこんな目に』『あんたのせいで苦しかった』『考えられない。何で、あんな酷い事ができるのか』などの言葉を向けるのは、避けた方がいいかな。と思います。
それは、往々にして、相手にとって正しいこと。あなたにとって正しいこと。この基準が噛み合わない。つまり、それぞれが見ている現実が異なるからです。分かり合えないのは辛いし、相手を更に批判して、お互い、感情的になり、傷つけやすいからです。
何も解決しないばかりか、状況・関係を更に悪化させ、あなたの心の状態さえ、悪化してしまいます。
ご自身の内側に意識を向け観察する
まずは、ムカムカするという感情が湧いていることを、怒り・憎しみ・嫌悪感を感じているという事実を、客観的に捉え、みつめてみることです。ここから、癒しが始まると思います。
あなたが一人になれる安全な場所で
- あなたが抱いている内なる憎しみの思考に向き合い、そこに存在する思考や感情を言葉にして、声にだしてみましょう
- 辛かった。苦しかった。理不尽で憎い。ひとでなし。自分が怒っていて・父親を深く恨んでいることをしっかり受け止める
辛いから蓋をしていた思考や感情を、言葉にして引き出してゆく。
思い出す事で、心に湧きあがった憎しみは、体にどんな変化をもたらしていますか? 言葉にして、体の反応を、見つめ、感じとってみましょう。
ご自身を客観的に眺め、観察しているもう一人のあなたを、次第に、感じる事ができる様になります。あなたご自身の経験や、お父様の事を少し離れた所から、客観的に眺め、静かに心を見つめることが、次第にできる様になってゆきます。
人は過ちを犯すもの。完璧な人はいません
人間は感情の生き物と言われます。感情の振れに振り回されないで生きたいなら、『ご自身を含め、人は過ちを犯すもの。完璧な人はいない』この事実を、もう一度、思い出してみましょう。
- お父様の行動は許せない! だからといって・・
- 父は悪魔だ!クズ人間だ! と人格否定はできないのです
つまり、あなたが許せないのはお父様がとった行動であり、お父様そのものではありません。お父様も人として大きな苦しみを抱えていた。問題を抱え苦しんでいたのでしょう。
ちょっと難しいですが、まずそこから、理性で判断するという事が、可能になると思います。
大切なのは、あなたがどう生きたいかです。心地よく生きたいのか。お腹の底にドロドロとした感情を抱えながら、不快感を抱き生きるのか。
- あなたは許せないという思いを持ったまま、生き続けますか?
- 許せない思いを減らしながら生きるのか? あるいは
- 完全に憎しみを解消してゆくのか?
これはもう、あなた次第
祈りの力を使う
憎しみや恨みを解消したい。自由になりたい。そう決心されても、憎しみを消す・許すということは、感情から入ったのでは無理という現実にぶつかります。
それは、憎しみという感情がとても強い性質をもつからです。ではどうするか?
憎しみには、祈りを使うのが良いと思います。
祈りというのは、実は、瞑想の一つなのです。
祈りは、荒れ狂う感情を鎮め、理性を取り戻すため、慈悲の心を思い出すための瞑想なのです。どの様なフォームの祈りでもOK。
ご自身の宗教や、生き方に合わせ、神でも良いし、宇宙でも良いし、月でも良いでしょう。やり方も・祈り方もあなた次第。美しい言葉を選んで、あなたの心が温まる祈りがいいですね。
あなたが心おだやかで健康でありますように!
最後に
世界情勢をみていると、いつ、どこで、どんな出来事に巻き込まれるか。私たちは、いつでも、被害者になりうる時代に生きています。
だからこそ、私たちは人を愛する・人を慈しむと言うことと一緒に、人を恨む・人を憎むという感情が起きた時に備え、感情マネジメントを学んでおく必要があると思います。
許すということの本質を一緒に学んでゆけたら嬉しく思います。